2021年11月23日火曜日

『怒り』の奥の、またその奥に隠れているもの



 『アンガーマネージメント』

『怒り』がわいたとき、どのように行動すると良いかについて、前回投稿しました。


『怒り』自体は自然と湧いてくるもの。

それを、その感情のままに行動するのではなく、いくつかの手段で、相手を傷つけない行動をとる方法についてみなさんに簡単にご紹介させていただきました。


ご紹介した方法が、みなさんのお役に立てればと思います。


それにしても、なぜ『怒り』が湧くのでしょうか?



怒りが湧かなければ、人とのコミュニケーションはスムーズに保たれるはずです。


前回も触れましたが、誰もが正当と感じる事に関しては『怒り』を持つことによって、多くの人に有益な状態に変わっていくことが出来ます。

なので、その『怒り』は必要なものといえるでしょう。

ですが、ほんの些細な事にも『怒り』を感じて感情的になるは話は違ってきます。


普段から些細な事でも『怒り』が湧く方、イライラしやすい方、そんな方には何か共通点があのではないでしょうか?




些細な事にも『怒り』を感じやすい人は大きく分けると2つのタイプがあるようです。


1. 競争心が強く、せっかちで余裕がない。思い通りにならないとイライラしやすい、わがまま、他人をコントロールしようとする。

2. 自己主張せず従順で、他人への気配りが過剰。真面目で几帳面、自分の感情、特に不安や怒りを抑圧して表に出さない。他人にコントロールされやすい。



このどちらのタイプにも、共通点が見られます。



それは、


『怒り』を露わにした後、周囲の人とどのような状態になっても、自分から謝るケースが殆ど見られない事。



話を聞くと、「自分は悪くない」と言うのです。



半面、自身のコミュニケーションの能力を疎み、極度に孤独感を抱えている傾向が強いのです。


つまり、自分は悪くない、相手が悪いと思っていても、人とは仲良くなりたいと本心では思っているのです。



だったら、もう少し穏便になって、周りの人に優しく接すればいいのにと思われる方も多いですよね?



ただ、彼らにはもう一つの共通点があるのです。



『過去に自分の意志が相手に伝わらず、本人にとって不本意な決断をしなければならない経験を持ち、その事について強いトラウマがある』



特に幼少期から思春期にかけてそのような経験がある方にその傾向が強く見られます。



その背景には家庭や教育環境が大きく影響しているのがわかります。



・幼いころからご両親の言いなりにだった


・両親や家族と離れて暮らして孤独感を感じていた


・学校でのいじめなどが問題で、家族に心配かけまいといつも我慢していた



など、幼いころから自分の本心を最も身近な人に打ち明けられず、または打ち明けても頭ごなしに否定されたために、寂しさや悲しさ、悔しさなどを内に閉じ込めて過ごしていた方が殆どです。







幼少期にそういった経験をすると、大人になっても自分に自信が持てなくなる傾向にあります。



「この人は、自分の心をわかってくれるだろうか?どうせ今までと同じく、わかってなんか貰えないだろう。」



そんな言葉が何度も心の中に現れ、再び感情を閉じ込めてしまいます。



そのため普段から強がって、時には高圧的な態度で相手を変えようとしたり、時間が過ぎる事によって、相手が変わる、または環境が変わる、もしくは人が去るのを待つようになるのではないでしょうか?



ただ、人を変える事はとても難しい事です。

ましてや、一人の為に周りみんなが変わるという事は、とうてい誰も賛同してくれないでしょう。






人は孤独に生きていくことはできない生き物です。



集団でいても、孤独を感じた時、無性に虚しくなるでしょう。



この世に自分を理解する人はいないんだと、心の中で無意識に周囲を責めるでしょう。



その『責め』も内に抱えたまま、何かをきっかけにしてその気持ちを爆発させ、『怒り』を周囲にばらまいて、あなたの気持ちを押し付けていませんか?



そんなことはないとおっしゃる方もいらっしゃっるでしょう。


自分の『怒り』には正当性があると。



ですが、その時に目の前にいた人の表情を思い出してみてください。



あなたの怒りに戸惑い、怯え、悲しそうな顔をしていないでしょうか?



その表情は、幼いころのあなたのものにそっくりではありませんか?







『怒り』の奥にある感情の更にその奥にある『孤独』



その『孤独』を誰かに理解された時、あなたの『怒り』を作り上げる感情の変化も緩やかになるのではないでしょうか?



『怒り』をばらまいて周りを変えようとせず、あなた自身が行動して『孤独』を解き放ってみませんか?



どうやって?そう思われるでしょう。



打ち明けてみるんです、素直に。



あなたが孤独と感じることを。



誰かに気持ちを共有してもらうのです。


友だちでも家族でも、知人でも恋人でも。それが難しかったら、カウンセラーでも精神科医でも、占い師でもいいです。


あなたの言葉を否定せずに話を聞いてくれる人に、気持ちを共有してもらいましょう。



和らいだ心には『怒り』なんか生まれてこないはずです。



その『打ち明ける』なんて行動はあなたにとって怖いことかもしれませんね。


ですが、試してみてください。




今まで変えられなかった何かが変わりますよ。






2021年11月7日日曜日

『怒り』自体が悪いのではない

 どうして怒ってしまうなんだろう?

あんなにキツく言わなくても良かったのに。


そんな風に感じたことはありませんか?


ちょっとした事で怒鳴ってしまう。

人より感情の沸点が低い。


怒りのコントロールが出来ない・・・


それが原因で、ひどく落ち込む事もあるのではないでしょうか?




アンガーマネージメントは最近、コミュニケーションを円滑にする上で、かなり注目されるようになりました。


ふっと沸いた怒りに対してどう向き合うか?

それは時代に限らずとても重要な事です。


なぜ怒ってしまうのか?

なぜ怒鳴ってしまうのか?


まずはこの疑問に向き合うことが肝心です。


そもそも、『怒る』ことは全ていけない事でしょうか?

実際、その全てが悪いわけではありません。



例えば、悪さをしている子供に向かって叱る。身の危険が迫った時に怒鳴る。身近な人が傷つけられた時に怒るなど。

こういった場合には、もちろん概ね正当化されると思います。


では、問題になる『怒り』とは、どういったことでしょうか?

・イライラして周囲に当たってしまう。

・言うことを聞かせようとして高圧的に怒鳴る。

・感情が昂って、相手の反応に構わず起こり続ける。など。


『怒り』が生まれた時に取った行動が、相手を傷付けてしまう事が問題に当たるのです。



怒りには、6つのパターンがあると言われています。


  1. 公明正大タイプ ー マナー違反や社会的に正しくないことに怒りを感じやすい。
  2. 博学多才タイプ ー 何でも白黒はっきりつけないと気が進まない。はっきりしない人にイライラしやすい。
  3. 威風堂々タイプ ー 自分が一番でいたいと思っている。
  4. 外柔内剛タイプ ー 自分が決めたルールから外れる事を嫌がる。表向きは穏やかだが、自分ルールから外れるとイライラする。
  5. 用心堅固タイプ ー ネガティブな方向に誇張して考える傾向があり、些細な事でも必要以上に悪くとらえて怒りを感じやすい。
  6. 天真爛漫タイプ ー 後先考えずに行動する割に、思うようにならないとイライラし怒りを感じやすい。


以上に分類されるそうです。

こうしてみると、『怒り』には『原因』となる何かが必ず存在しているのがわかります。

その『原因』に対して感じたことによって『怒り』が湧き、態度で感情をあらわにするのです。


専門家は感情を二段階に分けて表現しています。


第一感情 ー 寂しさ、悲しさ、恥ずかしさ、不安、困惑、恐れ

第二感情 ー 怒り




人が怒ってしまうのは、第一感情が発生し、その後第二感情が生まれるという事なのです。


つまり、悲しいことが起きたり、恥ずかしい目にあったり、そんなことが起きた場合にも『怒り』と言う感情が湧き上がるのです。


そこで、アンガーマネジメント(怒りをコントロールする方法)では、まず、「なぜ怒ってしまったのか?」その原因を探るようにしています。


・自分が何も知らないような言い方をされてような気がして恥ずかしくて怒ってしまった。

・約束を破られて裏切られたような気がして悲しくなって怒ってしまった。など。


このように、一度冷静になって『怒り』の原因を探ることで、ご自身も気持ちが落ち着いていくのではないでしょうか?


さて、ここからが肝心。


『怒り』の原因が分かったところで、今後、同じような場面に遭遇した時にどのようにするかが大切です。


上記のように、『怒り』の原因事態が『正当』であった場合、それを相手に伝える必要があります。

そうでなければ、例えば『不当』な扱いを受けても、ずっと我慢しなければなりません。


ではどのようにするのか?


それは、一次感情である『悲しい』や『恥ずかしい』などの気持ちを素直に相手に伝える事です。


「自分が何も知らないと言われた気がして悲しかったよ。」

「約束破られて、がっかりしたよ。」


こんな風に伝えてみるといかかでしょう?

そうすれば、不用意に怒鳴ってしまって相手との関係をいきなり悪化させることは避けられるのではないでしょうか?




でも、「そんなに簡単に、冷静に自分の感情を振り返られない」って言われるかもしれませんね。


アンガーマネージメントには、例えばこんな方法があります。


  1. 6秒数える ー 怒りのピークは長くても6秒と言われています。大声を出す前に6秒待ってみましょう
  2. 怒りが湧きそうな場面から離れる -怒りの焦点から気をそらすことで冷静になれる
  3. 今後の自分の評価がどうなるのか想像してみる ー 感情的になった結果、周りからどう思われるか考えてみましょう
  4. 過去の成功体験や、嬉しかった体験を思い出す ー イライラ状態を放置しておかず、感情のリセットしてみましょう
  5. 怒りが湧いた時に言うセリフを決めておく ー 「大丈夫」「わかった」など
  6. 怒りを点数化する ー 点数化して冷静に評価することで、心に余裕を作りましょう
  7. 深呼吸をする ー 深呼吸をしてリラックスしましょう

いかがでしょうか?

全てを一度に実践しなくても良いと思われます。

『怒り』により、感情的になった時、どれか一つでも実践してみると、結果は今までとはずいぶん変わっていくと思います。


アンガーマネジメントは「『怒り』が生まれて相手に何かしらの行動をとった時に、後悔しないためのもの」とされています。


「怒りが生まれる」≠「悪」


『怒り』事態は悪い事ではないのです。


ただ、その感情が生まれた時、どういう行動を取ったらいいのかを普段から意識してみるといいですよね。


そうすればきっと、嫌な後悔も生まれることなく、大切に思っている人とも長く過ごせることが出来るでしょう。